富士ころびで笑う白山の参詣者
どんな伝承か
白山と立山に樋をかけて水を流したところ、水は白山の方へ流れた。白山がすかさず草鞋を樋の下にあてがうと、今度は立山の方へ水が流れたという。それで白山に登った者は、頂上で草鞋を脱いで載せてくるものだといわれた。別伝では水が富士の方へ流れ、驚いた富士権現が樋の下に馬の沓を入れたので、水は樋の中ほどで止まった。これを見た白山権現は立ったり転んだりして喜び笑ったという。そこで御前峰から別山へ向かう途中、富士山がわずかに望める「富士ころび」のあたりで、白山の参詣者が喜び笑う習慣があったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。