田の水に映る船影と八畳岩
どんな伝承か
『備中集成志』は船山について、窪屋郡三和村に坂浦という所があり、この辺りは古く海であったといい、牡蠣殻などが岩に付いていた、昔ここで船が破損したのだと伝える、と記す。山には八畳岩と呼ぶ岩があり、その上から五月に稲を植えるころ、朝日が昇る時分に田の面を見ると、船の行き来する影が田の水に映って見えるという。ただし編者は、この辺りが海であったとは考えにくく、この話はいぶかしいと注を付けている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。