鴨と思って撃った坊海道沼の大蛇
どんな伝承か
坊海道沼は、九十九里町の藤下・貝塚・細屋敷・粟生と東金市の大沼にまたがる境にあった約三十ヘクタールの沼で、葦や水草が茂り、水鳥や鯉、鮒が多かった。近くに人家はなく、夕方はひどく寂しい場所だった。冬のある日、村で鉄砲の名人と呼ばれた男が鳥を撃ちに来て、何羽か仕留めたあと、向こうで動くものを大きな鴨と思って撃った。手ごたえを確かめに近づくと、それは大蛇で、鎌首をもたげて襲いかかってきた。男は鉄砲を捨てて逃げ帰り、見たことを子供に語ったが、ほどなく寝ついて病名もわからぬまま死んだという。
原典より
ところが、ねらった獲物は鴨ではなく、実は大蛇だったのでした。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。