死者で色を変える桜井戸と中相馬の七ツ井戸
どんな伝承か
中相馬と呼ばれた七つの村には、どの村にも一つずつ大日井戸という井戸があり、村人の祖先が使ったものとされ、かつては正月の若水をここで汲んでいた。七つの井戸は弁天の井戸、香取の井戸、将門の井戸、桜井戸、元日の井戸、井戸坂の井戸、八幡の井戸と呼ばれる。古戸の桜井戸は、村で男が亡くなると水が白く、女が亡くなると赤く変わったという。元日の井戸の水は八幡神社の旗立て松にたまった水が湧くものとされ、岡発戸では氏神がほかの井戸を嫌うので、家ごとに井戸を掘ると不幸が起きるといわれた。
原典より
桜井戸の水は、村内に男性の死者があるときは白色になり、女性の死者のあるときには赤色になったという。—— 我孫子市史 民俗・文化財篇(我孫子市・我孫子市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
我孫子市史 民俗・文化財篇(我孫子市・我孫子市史)
『我孫子市史 民俗・文化財篇』は、市史の口承文芸の部分の抜き書きで、伝説の諸節と世間話の章が収められている。新木の二股竹、将門の井戸、藤姫の入水、七ツ塚、頸天神などの伝説を木・水・塚・祠堂・城跡と屋敷に分けて掲げ、奇人譚や河童・狐・偽汽車などの怪異・霊異譚を世間話として載せる。多くの話の後に、柳田國男らの説を引きつつ御霊や水神の信仰との関わりを考える解説を付し、末尾に本稿のまとめを置く。