和尚に恩返しをしたサル
どんな伝承か
神楽坂六丁目にあった松源寺の徳山和尚は、境内でいたずらをするサルを大目に見ていた。和尚の留守に小僧たちがそのサルを捕らえ、参詣に来た浅草橋場の檀家武蔵屋が金を払ってもらい受けていった。翌春、和尚が小僧を連れて竹屋の渡しで舟を待っていると、後ろから衣のすそを引くサルがいる。武蔵屋のもとから逃げてきたあのサルで、追ってきた主人と話すうちに舟は出てしまった。ところがその舟は人を乗せすぎて川の中ほどで転覆し、溺れ死ぬ者まで出た。命拾いをした和尚はサルを引き取って大切に飼った。話を聞いた五代将軍綱吉はサルを彫った額を寺に贈り、以来ここはサル寺と呼ばれたという。
原典より
和尚も舟に乗ろうと岸に立っていると、後から衣のすそを引っ張るものがいた。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。