駒止峠で見つけた湿原
どんな伝承か
高さを求めても人気のない場所はもう残っていないので、著者は横へ、密林の奥へと進むことにした。新聞社の飛行機で会津の上空を飛び、地形図に描かれた湿原を一つ一つ空から探すと、七ッガ岳の周辺はほとんど藪ばかりで何もないことがわかったが、駒止峠の東北に第二の尾瀬といえそうな場所を見つけた。一週間もたたぬうちに現地を歩き、七ッガ岳では同行者が垂壁から落ちて大腿骨を折ったため、単身で未踏の北面のジャングルを駆け抜けて人を呼んだ。その後、駒止峠の湿原を訪ね、よどんだ池をカッパ湿原、台地の上の湿原をメノコ湿原と名づけた。針生の木賃宿に泊まり、黒岩山の湿原も探したが、これは見つけられなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊と雑誌の一篇「ワシは安禄山」を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。「自然界はもちつもたれつ」「酒」「山」「兄との交信」の四部に、チョウや小動物、山や湿原の探検、酒と温泉の話とともに、横尾谷の岩小屋の幽霊、釜石の幽霊、木曾御岳の人魂、呪い殺しの実験、雨やみの術など著者自身の怪異体験をつづる。あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。