猫のように甘えるミミズク
どんな伝承か
著者の家で飼われていたオオコノハズクの「ミミ公」は、まだ副手だった兄が上野の山の解剖室で捕まえてきた鳥だった。父が片面に金網を張った大箱をこしらえ、鳥肉やネコが捕ってきたネズミを与えた。母が呼べばポーと答え、両目の間をこすられると全身で押してきて、ネコが近寄るとふくれ上がってくちばしを鳴らし追い払った。二年あまり共に暮らしたが、父が病気になると鳥のせいだと周りに言われ、上野動物園に寄付させられた。一週間後に会いに行くと、すり餌を受けつけずに死んでいたという。
原典より
私はミミ公を手の中でなでながら涙をとめどなく流した。—— 山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊と雑誌の一篇「ワシは安禄山」を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。「自然界はもちつもたれつ」「酒」「山」「兄との交信」の四部に、チョウや小動物、山や湿原の探検、酒と温泉の話とともに、横尾谷の岩小屋の幽霊、釜石の幽霊、木曾御岳の人魂、呪い殺しの実験、雨やみの術など著者自身の怪異体験をつづる。あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。