胃癌の府会議長を通わせた振り替え
どんな伝承か
牛込区神楽坂の近くにある店で、主人が客の私を相手にひとのみちの功徳を並べ立てた。当時は矢来町の支部が最も勢いづき、近所は軒並み入信して、信者でなければ付き合わないという不文律さえあったころである。主人は、昨日の集会で府会議長の三隅正が病気全快の報告をしたと得意げに語った。三隅は胃癌で医者にも見放され温泉で療養していたが、少し良くなったので麴町の自宅へ戻り、勧められるままに入信して振り替えを願った。すると気分が良くなり、痛む体を押して三日続けて牛込の支部へ通ったのだという。ところが三日後の朝、新聞の黒枠にその名が載っていた。
原典より
それは一昨年の秋のことである。—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、邪教撃滅聯盟の発意により浅野研真・島影盟・広木勇郎・好村春基が協同で編んだ本である。天理教・ひとのみち・生長の家・大本教などに迷って、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、行者に辱められた話、家や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』『婦人公論』昭和十一年の記事などから集め、八類に分けて並べる。後半に島影盟の邪教弾圧史と田所通世の取締法規の解説を付ける。