火災予知能力の的中
どんな伝承か
明治四十四年一月、丸亀の長尾幾子夫人は、思いがけない出来事を前もって告げて当てる力まで示したと伝えられた。三日には家の者に、今夜市内で火事があるから、出かけるなら風邪をひかないよう着込んで用心するようにと注意した。するとその夜十時、市内の唐人町にある平松金太郎方から火が出て家は丸焼けとなり、腰の立たない六十八歳の母みよが炎に包まれて亡くなった。丸亀の特派員が四日に打った電報で報じられ、人々はその不思議な力にみな驚いたという。
原典より
三日の如きも今夜市内に火事あれば外出するも風邪もひかぬやう重ね着して注意すべしと家人に警告せしに驚く可し案に違はず同夜十時市内唐人町平松金太耶方より出火し…—— 心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。