九段に建てられた招魂社の系譜
どんな伝承か
靖国神社の前史は、一八六二年に京都の東山霊山で営まれた「報国忠士」の招魂祭にさかのぼるという。一八六八年六月には江戸城内でも招魂祭が営まれたが、彰義隊や会津藩士など敗れた側の霊は顧みられなかった。翌年、明治天皇の勅命で東京九段に招魂社が創建され、一八七九年に靖国神社と改称して別格官幣社に列した。この社の祭祀は御霊信仰の流れを引きながら、怨霊を祀らず、天皇に忠誠を尽くした戦死者だけを慰霊し勲功を顕彰するという、特異な形をとった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶(川村邦光・1989年(平成元年))
『幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』は、川村邦光が近代日本の民衆の心性をたどった論考で、あとがきは一九八九年十二月の日付である。明治の「血税一揆」の流言、トラホームと〈迷信〉、狐憑きと精神医学、「脳病」「神経病」、座敷牢と精神病者監護法、芦原将軍の誇大妄想と出口なおの神がかり、祖先教と靖国による霊魂の管理を、新聞記事や民話、医学書、調査報告から読み解く。はじめにの後に三部と終章を置き、あとがきで結ぶ。