畳を上げられなかった催眠実験
どんな伝承か
後催眠暗示が実現しない例として著者が挙げた実験。公会の席では聴衆から二、三の題を出させ、実現しやすそうなものを選んで暗示するのが常だった。だが華族会館で行った折には、実験場の畳を一枚上げさせてみよという題がただ一つしか出ず、やむなくそれを暗示した。被験者は畳に手をかけるところまでは実行したが、それ以上は進まなかった。大勢の来会者の前で畳を持ち上げるのは無作法だという意識が働いたためだと著者は見ている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。