茶垣の上で大蛇に見えた寿命院の宝剣
どんな伝承か
深井の寿命院には、宝剣様と呼ばれる刀が納められている。いつの頃の話かはわからないが、ある日、一人の侍が寿命院のわきの道を通りかかり、用を足そうと立ち止まって、茶の垣根の上に主君から賜った刀を置いた。しばらく歩いてから刀を忘れたことに気づき、引き返して近所で畑仕事をしていた人に尋ねると、刀はなかったが大きな蛇が一匹垣根の上にいたと言う。誰かに盗まれたかと案じながら置いた所まで戻ってみると、なくしたと思った刀はちゃんとそこにあった。これが宝剣様のいわれで、それほど力のある刀が寺に納まっているのだという。
原典より
これが「宝剣様」の言われなんですけど、こういう威力というか、非常に立派な力のある刀が寿命院に納まっているそうなんです。—— 北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史)
『北本市史 第6巻(民俗編)――伝説』は、北本市の市史民俗編のうち、第十一章「伝説・世間話・昔話・諺」の冒頭部分である。章の「はじめに」で四者の性格を説いたのち、第一節「伝説」に蒲桜・龍灯杉・一夜堤や多くの塚の伝承、送りオオカミ・河童・禁忌動物、おたきあげ・十日夜の由来など四十二項目を収める。多くの項目は見出しに石戸宿・高尾などの伝承地を添え、話者名や「埼玉県伝説集成」などの出典を▽で示す。