枕返しの石
どんな伝承か
杉尾に枕返しの石と呼ばれる、畳一枚ほどの平たい石がある。地面から六、七寸ほど顔を出し、近くの田で働く人々がよく腰を下ろして休むが、座ると不思議と眠気に襲われる。どちらを向いて眠っても、目覚めると必ず北枕になっているので、この名が付いたという。眠った者はみな同じ夢を見て、朝日と夕日の射す松の下に黄金が千枚二千枚あるという謎めいたお告げを聞く。お告げを頼りに掘ってみた者もいたが見つからず、石そのものが石室のようになっていて中に黄金が眠っているとも言われている。
原典より
眠る時どっちへ向いて寝ても目を覚ました時は、きっと北まくらになっている。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。