福寿稲荷の牛
どんな伝承か
昔、石町の玉井屋のお婆さんの孫が、梅の実を食べて死にかけた。方々の神に祈って命は取りとめたものの、なかなか元気にならない。そこでお婆さんは田町のお稲荷さんに願をかけ、二十一日のあいだ毎晩丑の刻に参った。いよいよ満願の日、稲荷の石段に見たこともない大きな牛が寝ていて、それを越えなければ社まで行けない。お婆さんは孫を救いたい一心で恐ろしさをこらえ、裸足のまま牛を乗り越えた。すると牛はかき消え、孫の病も治ったという。
原典より
今日が満願という日のこと、お稲荷さんの石段にみたこともない大きな牛が寝ている。—— 古河市史 民俗編――伝説(古河市(編)・古河市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
古河市史 民俗編――伝説(古河市(編)・古河市史)
『古河市史 民俗編――伝説』は、古河市が編んだ市史の民俗編のうち、第一章「伝説と昔話」の伝説の節を収めたものである。古河市と周辺の総和町・野木町・北川辺町に伝わる沼や神木、三国橋の人柱、お菊卵塔などの墓地、源頼政や静御前、地蔵や野木明神の蛇にまつわる話を短く記す。伝説の特徴と分類を述べたのち、自然・社会・人物・信仰の四つに分けて収め、町名の由来を添え、昔話の節の冒頭で終わる。