黒壁山淫祠の破却
どんな伝承か
金沢の市街から川を隔てた向こう岸の奥にある黒壁山は、魔所として代々語り継がれ、淫祠邪教のたぐいが集まる場所とみなされていた。『金沢古蹟志』によれば、明治六年、山中の淫祠を取り壊すようにとの命令が下った。里の人々はひどく恐れたが、戸長が県令に届け出て、祠はことごとく破却された。それでもその後、山に登ってこもる者は絶えなかったという。著者は、法律で禁じても黒壁山を魔所とみる意識は一向に消えないまま、現在に至っていると述べている。
原典より
つまり法律上禁じても黒壁山の魔所の認識は一向に絶えないまま現在に至っているということになる。—— 妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。