狐にぐるぐる回された話
どんな伝承か
狐に化かされて同じ所をぐるぐる回らされた話が、公所と山下で四つ語られている。公所のある家の祖父は昔、金田の方の祭りに招かれ、夜に折り箱を提げて帰る途中、橋を渡る所で朝まで回り続けた。夜が明けてみると折りの中身はすっかり消えていたという。別の人は秦野へ出かけ、油揚げの入った重箱を下げていたが、家がどうしても見つからずに回り、気づけば藪の中でうずくまっていた。山下では、化かされた人がすぐ近くの河内のお宮さんまで一晩じゅう歩き、境内をぐるぐる回っていたところ、人に背中を叩かれてようやく目が覚め、狐が離れたという。山の中を回らされた祖父が、煙草を吸ったら我に返ったという話もある。
原典より
山下で狐に化かされて、すぐそこの河内のお宮さんまで一晩中歩いちゃって、あした河内のお宮さんでぐるぐる歩いてんから、…—— 平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書)
『平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承』は、平塚市の旭地区の民俗調査報告書のうち、第八章「口頭伝承」を収めたものである。下山下・万田・公所・山下などで聞いた昔話十五話、狐に化かされた話や狐憑き・ムジナ・神隠し・幽霊・塚のたたりなどの世間話四十一話、曽我伝説の虎御前や社寺のいわれなどの伝説十一話を収める。昔話は『日本昔話集成』『日本昔話名彙』に照らした分類表を掲げ、各話に地区名や話者名を添え、末尾にことわざといいまわしを載せる。