狐をさける方法――マッチと子の尻つねり
どんな伝承か
狐を寄せつけない方法がいくつも伝わっている。公所では、昔は裏口に鍵をかけなかったので、ガサゴソと物音がしたら子供の尻をつねって泣かせよ、そうすれば狐でも悪者でも逃げていくと、祖母や祖父によく言われたという。山下では、マッチを必ず持ち歩くものとされた。マッチは硫黄、つまり火薬なので、狐は鉄砲で撃たれるのを恐れて逃げるのであり、効くのは煙草の煙ではないという。魚などの土産をもらって夜に帰るときは、包みの中にマッチを入れ、マッチが高かった頃はつけ木を入れて、化かされないようにした。
原典より
イオウだから、やつは鉄砲で打たれる心配のために逃げるわけだ。—— 平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書)
『平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承』は、平塚市の旭地区の民俗調査報告書のうち、第八章「口頭伝承」を収めたものである。下山下・万田・公所・山下などで聞いた昔話十五話、狐に化かされた話や狐憑き・ムジナ・神隠し・幽霊・塚のたたりなどの世間話四十一話、曽我伝説の虎御前や社寺のいわれなどの伝説十一話を収める。昔話は『日本昔話集成』『日本昔話名彙』に照らした分類表を掲げ、各話に地区名や話者名を添え、末尾にことわざといいまわしを載せる。