ウバステ山(棄老伝説)
どんな伝承か
姥捨ての話は三つの断片で語られる。一つ目では、難題を突きつけられた息子が、そのつど母親に知恵を借りる。まっすぐな棒のどちらが根元かは水に流して重いほうを見ればわかり、曲がりくねった筒に糸を通すには、蟻に糸を結びつけ、反対側の口に砂糖を置けばよい。通した糸を順に太い物へ替えれば最後は引き通せる。二つ目では、捨てられたはずの年寄りが、殿様から灰で縄をなえと命じられた折に、その答えを教えたとされる。三つ目では、貧しさから働けなくなった親が山に置き去りにされる。親は覚悟を決めながらも、息子が帰りに迷わないよう木の枝などを残しておき、狼や鳥に食われて果てるとしても子の帰り道を案じていたと語られる。
原典より
捨てられた年寄りがね、殿様が、灰で縄をなえって言った時に教えてやったってね。—— 平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承(平塚市(編)・平塚市史民俗調査報告書)
『平塚市史民俗調査報告書5(旭)――口頭伝承』は、平塚市の旭地区の民俗調査報告書のうち、第八章「口頭伝承」を収めたものである。下山下・万田・公所・山下などで聞いた昔話十五話、狐に化かされた話や狐憑き・ムジナ・神隠し・幽霊・塚のたたりなどの世間話四十一話、曽我伝説の虎御前や社寺のいわれなどの伝説十一話を収める。昔話は『日本昔話集成』『日本昔話名彙』に照らした分類表を掲げ、各話に地区名や話者名を添え、末尾にことわざといいまわしを載せる。