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夜ごと抜け出した岩殿観音の絵馬の馬

所在地埼玉県東松山市大字岩殿(正法寺)
登場語り手、伝承者
出典東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説

どんな伝承か

春の夕暮れ、三春から来た若者が坂東十番の正法寺に、雪毛と栗毛の若駒を描いた大絵馬を奉納した。主人が大名へ献上する馬を立派に育てたいと願ってのことで、その夜のうちに観音堂へ掲げてもらった。それからというもの、山向こうの神戸の里では夜中に二頭の蹄の音が聞こえるようになり、翌春には都幾川の河原で水を飲む雪毛と栗毛の駿馬が見られた。ある朝、住職が観音堂を見ると、絵馬の馬が消えて白木の板になっていた。十日後、若者が礼の絵馬を持って再び訪れ、十日前の夜中に主人の家の庭へ二頭の駿馬が飛び込んで来たと語ったという。

原典より

昨日の夕勤行にいった時はたしかにいた三春の若者が奉納した大絵馬の雪毛と栗毛の馬がきれいに消えて、白木の絵馬になっていた。—— 東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)

『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市の市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。多くは会話を交えた物語の形で書かれ、筆者が幼い頃に母から聞いた話や古老から聞いたままの話も含み、末尾に〔 〕で由緒や文献の注を添える。

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