観音さまの卵から生まれた蛇娘
どんな伝承か
昔、上唐子の浄空院の隣に、大仏という珍しい姓の家があり、子のない老夫婦が住んでいた。子が欲しい一心で、雨の日も風の日も欠かさず岩殿の観音さまへ二十一日の願掛けに通った。満願の日にお参りすると、観音さまの前に子供の頭ほどもある大きな卵があった。授かり物に違いないと持ち帰り、綿入れの布団にくるんで床の間に置くと、卵から愛らしい女の子が生まれた。夫婦は大事に育てたが、娘は近所の子と決して遊ばず、ひとりで池や川のほとりにばかりいた。七つになったある日ふいに姿を消し、大蛇となって都幾川の主になったと伝わる。
原典より
その子供は大蛇になって都幾川の主になったのだという。—— 東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市の市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。多くは会話を交えた物語の形で書かれ、筆者が幼い頃に母から聞いた話や古老から聞いたままの話も含み、末尾に〔 〕で由緒や文献の注を添える。