沼の竜神
どんな伝承か
昔、加納にあった大きな沼の深みに竜がすみ、ときおり雲を呼んで雨を降らせ、田んぼを荒らした。竜神が出た日には人びとは家にこもっていた。隣村の弓の名人と呼ばれる若者が退治を買って出て、夕立の来そうな夏の日に物陰で待ち、雨とともに沼の中から竜が頭を出したところで、その目を射抜いた。たちまち風雨が強まり、沼の端に起きた竜巻が沼の真ん中で天に届く水柱となって、雷鳴と稲妻がとどろいた。嵐がおさまると沼の水は次第に減り、竜は二度と見られなかった。竜神は水柱に乗って天へ昇ったのだと村人は語ったが、若者の家にはその後不幸が続いたという。
原典より
あのはげしかったたつまきによって、竜神は水柱の中に入って天に昇ってしまったのだろうと、村びとたちは話していました。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。