熊野神社の池
どんな伝承か
護摩堂沼のほとりの小さな村は土地が低く水はけが悪いため作物が実らず、暮らしは貧しかったが、村人は熊野神社を祀って信心深く働いていた。隣村にならって秋に豊年祝いの祭りをすることになったが、大勢をもてなす膳や茶碗がない。神社に貸してほしいと祈ったところ、翌朝、境内の池に新しい膳と茶碗が浮かんでいた。祭りの後に礼を言って池へ返し、以後も祝い事の前夜に人数を告げて祈れば、翌朝その数だけ浮かんだ。ところがある者が借りた品を返し忘れてから、いくら頼んでも二度と浮かんでこなくなったという。
原典より
そして翌朝、村の人が神社にお参りに行くと、庭にある池に新しいお膳と茶碗が浮かんでいました。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。