池の金山に金が出なくなった話
どんな伝承か
池の金山では金が湧くほど採れ、多いときは二百五人もの金掘りが働いて、金山の町ができるほどだったという。掘った鉱石は金山河原で洗い、炉で吹き分けて鋳型に流し、金板分銅にした。ある日その金板分銅がなくなり、滝の淵の水まで抜いて探したが見つからず、尾山から来た役人が調べても分からなかった。親方は落ち度を問われて追放され、涙をのんで奥池を出た。金間の風穴まで来たとき、西に傾く日に向かって身に覚えのない罪を嘆き、足を上げたり手を合わせて拝んだりしながら、天地のある限りこの金山に金は出るなと祈った。それから金は出なくなり、不幸が続いて山に人がいなくなったという。
原典より
それから奥池の金山に金が出なくなって、不幸が続き、山に人が一人もいなくなったという。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。