厚木の花嫁と松明くぐり
どんな伝承か
明治の『風俗画報』の婚礼特集は、厚木地方の嫁入りを次のように伝える。まず婿がムカエジンキャクと称して嫁の家へ出向いてもてなしを受け、嫁方の集落の主だった家や親類を回って挨拶し、駿河半紙に扇子を添えて配る。婿が戻ると嫁入りとなり、若者が長持唄をうたいながら道具を運ぶ。花嫁は途中で仲人の家に寄って身支度を整える。婚家の門前では男女の子どもが松明をともして待ち、嫁が来ると地に置いて火を消し、嫁はそれをまたいで入る。その際そばの者が嫁の頭上に笠をさしかけ、披露の席では吸物が替わるたびに花嫁が衣装を替えたという。
原典より
婚家にいよいよ到着すると、門前に童男女が松明をとぼしてひかえている。—— 神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄の「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げる。昔話は本格昔話と派生昔話(化物譚・笑話・動物昔話)に分け、藤沢・津久井・平塚などの類話を並べて世間話にも触れる。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなる。