狐のお産――ハヤランサン医師
どんな伝承か
龍ヶ崎の米町に、ハヤランサンと呼ばれた産婦人科の医者がいた。ある夜ふけに戸を叩く者があり、娘が産気づいたのですぐ来てほしいと頼まれた。医者は抱えの車に乗って教えられた場所へ向かうと立派な屋敷があり、奥座敷で娘のお産を手伝った。夜食にそばをふるまわれ、礼金まで受け取って帰った。翌日、湯をつかわせてやろうと車屋とともに同じ所へ出かけたが、家は影も形もなく、米町のそば屋のそばの道具がいくつか並んでいるだけだった。狐のお産を取り上げたのだと悟ったという。
原典より
そしたらきょうきのうのところらしいところに行ったら家もなんにも無かった。—— 竜ケ崎市史民俗調査報告書4(竜ケ崎地区)――伝説・世間話(龍ケ崎市(編)・竜ケ崎市史民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
竜ケ崎市史民俗調査報告書4(竜ケ崎地区)――伝説・世間話(龍ケ崎市(編)・竜ケ崎市史民俗調査報告書)
『竜ケ崎市史民俗調査報告書4(竜ケ崎地区)――伝説・世間話』は、竜ケ崎市史の民俗調査報告書のうち、第七章「口承文芸」の伝説・世間話を収めたものである。竜ケ崎地区で聞き取った狐のお産や狐に化かされた話、狐憑き、幽霊屋敷、生まれかわり、家の主の蛇、龍ヶ崎の大火、首吊り榎、神木のたたり、源頼政の旧跡、鏡田などを、話し手の口調のまま載せる。話の末尾には多く話者の町名と性別を記し、生年か採録日を添える。昔話の一部には「大成」の話型名を付す。