こしき落しのまじない
どんな伝承か
後産がなかなか下りないときに行う「こしき落し」というまじないがある。こしきは焼き物の蒸し器である。もとは平安時代に公家だけが行ったもので、京都郊外の大原から献上されたこしきを大炊寮で使ったのち、あらかじめ三つに割って麻糸で元の形に縛っておき、後産が滞ると屋根から落とした。下り物や後産を腰気とも呼んだので、こしきを腰気にかけ、落とせば下りるとこじつけたのだという。徒然草で兼好法師は、民間から広まった根拠のない習わしだと笑っている。地方によっては今も行われているという。
原典より
こしき落しは初めは平安朝時代に公家だけで行われたもので、京都郊外大原から進献されたこしきを大炊寮で使用後、前もって三つに割り、…—— 日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年))
『日本の俗信 2――俗信と迷信』は、迷信調査協議会が文部省への第二回報告書として編んだ答申書で、まえがきに昭和二十六年十二月の日付がある。迷信の定義や時代性、俗信と生活慣習の区別を委員たちが論じ、食い合わせや守札、憑きもの、河童の名称の分布、迷信による殺人の精神鑑定例などを取り上げる。総論と座談会、各論、結婚・妊娠の迷信の解明、新聞の社説・投書を集めた附録の四章から成る。