首の本尊が受けた山賊の刃
どんな伝承か
越前地理指南は、坂井郡金津町の曹洞宗竜沢寺に、開山梅山和尚の遷化から二百七、八十年になるという土仏の観音があると記す。もとは梅山和尚の守り本尊で、幼い童が尿で泥をこねて作ったものを和尚が乞い受け、身から離さず敬っていた。諸国行脚の途中、山中の荒れ家に宿ると主は山賊で、暁に旅僧を送り出し、後を追って害し、衣裳を剥いで帰ってきた。すると僧の臥所で読経の声がする。覗くと法師がそのまま座っているので、主は驚いてありのままを懺悔した。共に現場へ行くと、害されていたのは首に懸けた本尊だった。山賊は悪心を翻し、和尚を師として遁世したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。