面が脱げず改心した老母の谷
どんな伝承か
二の□という所に住む与惣次という百姓の夫婦が、蓮如に帰依してたびたび吉崎へ参るのを、同居の老母は腹立たしく思っていた。文明四年三月二十日の夜、妻が一人で吉崎から帰るところを、老母は鬼の面をかぶって道へ出て驚かせようとした。ところがその面は顔の肉に貼りついて脱げなくなる。老母が一念発起して前非を悔い、信心を起こしたところ、ようやく面は抜けた。その老母が立ち佇んでいた竹藪のあたりを、それ以来、嫁おどし谷と呼ぶのだという。二十四輩図会に記されていると添える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。