法華経を誦した桜を伐った板
どんな伝承か
能登一覧記は、寺の上の山に講堂があり、本尊は行基作の弥陀で三十三年に一度しか開帳しないと記す。左に春日作の薬師、右に弘法大師自作の像、前に運慶作の二王が並ぶ。宝物は大師が吠木の桜で刻んだ弥陀の名号、不動の像を裏表に彫った板、法華経の板二枚、理趣経の板一枚、宝剣一振、三鈷一つ、自画自賛の像一幅で、いずれも拝見したという。堂の上の山には、桜を伐った跡に若木が大木となっていた。桜に法華経を読誦する声があったので大師が伐って板にしたといい、それゆえ山を吠木と呼ぶのだと寺僧が語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。