山の神に呼びかけて探す神かくし
どんな伝承か
九十九里町のどの地区にも共通して伝わる話。昔は子供が夕方遅くまで外で遊んでいると、大人は『早く帰らないと神かくしに遭うぞ』と叱ったものだった。実際に子供が、ときには大人までが急に姿を消すことがあり、行方が知れなければ村じゅう総出で探した。神かくしは山の神に聞けば分かると伝えられていたためか、何十人もが列を作り、はぐれないよう腰を縄で結び合って、山の神の殿さまに名を呼んで返してくれと大声で頼みながら歩き回った。何日かして戻る子もいたが、しばらくはぼんやりして何を尋ねても通じず、やがて話せるようになると、皆が探しに来たのは知っていたのに声を出して答えられなかったと語ったという。
原典より
神かくしは、山の神さまに聞けばわかると伝えられていたせいか、「山の神の殿さま。○○だしてたもれ」と、大声で山の神さまに呼びかけながら探して回りました。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。