消えた隣の老婆
どんな伝承か
林出身の大正二年生まれの女性が、まだ林の実家にいたころ、松林寺の住職から聞いた話である。住職が囲炉裏にあたっていると、女性の家の隣に住む老婆がふいに訪ねてきて、向かい合わせに腰を下ろした。老婆は、明日かあさってにはここへ来るからと話し、話し終えるとほどなくふっと姿を消した。はたして老婆はその言葉どおりに亡くなったという。また、寺のすぐ近くに住む人の話では、葬式がある前には、火の玉がふわりふわりと寺の門をくぐっていくのだそうである。
原典より
坊さまが囲炉裏にあたっていたら、うちの隣のおばあさんが突然やって来て向きあいにすわった。—— 所沢市史 民俗編(所沢市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史)
『所沢市史 民俗編』は、所沢市の市史の民俗編から、第一二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。ヘビや天狗・カッパ・雷獣の話に続けて、世間話の「不思議な話」としてカラス鳴き・人魂・死の予兆・夢・木の祟り・生き霊・幽霊騒ぎ・タクシーの幽霊などを、市内の話者からの聞き書きで記す。話ごとに題を立てて同じ題の話を番号で並べ、話者の性別などを添え、ホラ吹きやオトウカドンの話も続ける。