トップ > 京都府の伝承 > 京都市

心停止の間に漂った彩雲の上

所在地京都府京都市中京区
年代現代
登場邦光史郎、体験者(作家)
出典証言・臨死体験

どんな伝承か

京都に住む作家の邦光史郎は、一九九〇年十二月十四日の早朝に心筋梗塞で倒れ、近くの病院で脚の付け根から管を入れて冠動脈を広げる手術を受けた。手術は成功したが、数日後、集中治療室で眠っている間に不整脈で心臓が止まった。夜間のモニター画面が真っ暗になったのに宿直の看護婦が気づき、当直医を起こしたのだという。そのとき彼は、青空にピンク色の温かい雲が浮かぶ明るい世界で、雲の上を蝶のようにふわふわと漂い、真冬なのに寒さもなく、母の膝で眠る幼子のような安らかな心地でいた。当直医の電気ショックで息を吹き返したが、衝撃は肩を軽く叩かれた程度にしか感じなかった。耳元で名を呼ばれた気がして目を開けると、いくつもの顔がのぞき込んでおり、なぜ起こすのかと思ったほどだった。胸には電気ショックの火傷の跡が残ったという。この体験の後、死はあのように楽なものなら恐れることはないと考えるようになった。若いころ広島で原爆に遭い、生き残った経験も語っている。

原典より

明るい雲の上を、ふわふわと漂いつづけていた私は、それが夢の中なのか、それとも現実なのか、それすら考えることなく、ただ無心の幼児のように宙に浮いているだけだった。—— 証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年)) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))

『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。

種別から探す

彩雲心筋梗塞

京都市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『証言・臨死体験』の伝承