心停止の闇に開けた光の花畑
どんな伝承か
フジテレビの芸能レポーター前田忠明は、一九八九年十二月十六日、自宅で焼け火箸を胸に当てられたような狭心症の痛みに襲われ、タクシーで東京女子医大の救命救急センターへ駆け込んだ。診察中に心室細動となり、電気ショックで鼓動が戻るまで一分半のあいだ心臓が止まった。その間、暗闇の遠くに小さな明かりが見え、車でトンネルを抜けるように近づくと、突然きらめく川の向こうに色とりどりの花畑が広がる光の世界が開けた。額縁の縁に立って行こうか迷う自分を、もう一人の自分が見ていたという。踏み出せないうちに光は消えた。以来、死への恐れも生々しい欲望も消えたと語っている。
原典より
そして、川の向こうは、きれいなお花畑がダーッと広がっている。—— 証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。