神戸の寝たきり患者を治す
どんな伝承か
江原素六は三十年あまり前、医者も見放すほどの重い病にかかったが、訪ねてきた催眠術家の治療を受け入れたところ、病勢はたちまち衰えて健康を取り戻したという。病が癒えると江原は阪神方面へ出かけたが、たまたま神戸に、三年前から足腰が立たずに寝たきりの人がいた。江原がその人のもとを訪ねて催眠術を施すと、その人は翌日から起き居が自由になり、いまでは大の健脚家として、いつも阪神間を歩いて行き来しているという。著者はこれを、施術者の腕よりも江原の精神力の強さを示す話としている。
原典より
偶ま神戸に病み臥して三年來足腰がたたぬと云つて寝てゐる人があつたので、先生は其友人を訪ね、催眠術の施術をやられた、すると、其人は翌日より起居自在になり、…—— 心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。