普門院のいたずら禅師画像
どんな伝承か
昔、与野の町に仁平という経師屋がいて、近くの大成村にある普門院の熱心な信徒だった。ある日、仕事場で働いていると、誰かに後ろから目をふさがれた。近所の子のいたずらと思い、糊の付いた刷毛で背後を払うと確かに手応えがあったが、振り向いても誰もおらず、家の者も隣近所も心当たりがない。やがて、普門院の開山月江禅師の画像の横顔に、経師の刷毛で塗ったような糊が付いているという噂が広まった。仁平が寺へ駆けつけ住職と本堂で確かめると、乾いた糊の付いた禅師の顔はいたずらっぽく笑って見えた。仁平はいっそう信心を深め、商売も栄えたという。
原典より
うわさのとおり、たしかに月江禅師の画像のうえに経師糊がベッタリとついているではありませんか。—— 与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史)
『与野市史 民俗編――伝説・昔話』は、与野市史の民俗編から「一〇 伝説・昔話」の章だけを収めたものである。武蔵国足立郡与野にまつわる伝説と昔話二十話を、疫神や弘法大師、源頼義の伝えから、お化け地蔵・一つ目大入道・天狗隠し・猫橋のいわれなどの怪異譚まで、おおむね時代順に並べる。十五話は岡安茂生編『与野の伝説』に、ほかは『埼玉県伝説集成』『大宮市史』に拠り、再調査して題名や内容を書き改め、多くの話の末に注を付す。