あみだ様とへび
どんな伝承か
与野の円乗院に隆虔という小僧がいた。明治四一年六月、喉の痛みに苦しんでいた住職が亡くなり、後任の住職が来ると、今度は新住職と隆虔までが風邪でもないのに喉を痛め、医者に診せても治らなかった。隆虔は毎晩、天井から下りた大蛇に首を締められる夢にうなされ、ある朝の読経中に居眠りすると、白衣の老人が現れ、仏を粗末にした罰だ、物置の奥の長持を開けよと告げた。住職も同じ夢を見ていたので二人で長持を探し出すと、中には埃をかぶった阿弥陀像があり、首にミイラ化した白蛇が幾重にも巻きついていた。蛇を外して本堂へ移すと、二人の喉の痛みは消えたという。
原典より
ふたりで夢に見た長持をようやく捜し出して、外へ持ち出し、大急ぎでふたを開けて見ますと、中にはほこりにまみれたあみだ様が入っていて、なんとその首には、ミイラになった白いヘビが幾重にも巻きついていました。—— 与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史)
『与野市史 民俗編――伝説・昔話』は、与野市史の民俗編から「一〇 伝説・昔話」の章だけを収めたものである。武蔵国足立郡与野にまつわる伝説と昔話二十話を、疫神や弘法大師、源頼義の伝えから、お化け地蔵・一つ目大入道・天狗隠し・猫橋のいわれなどの怪異譚まで、おおむね時代順に並べる。十五話は岡安茂生編『与野の伝説』に、ほかは『埼玉県伝説集成』『大宮市史』に拠り、再調査して題名や内容を書き改め、多くの話の末に注を付す。