猫橋のいわれ
どんな伝承か
昭和九年に国道十七号線が通る前の話という。下落合の向原公民館の近くに駒橋という小さな橋があり、そばに酒好きだが火事には真っ先に駆けつける鳶職の男が住んでいた。ある晩、男は鈴谷の知人の建前に招かれ、鯛の折詰を手に酔って帰る途中、駒橋の向こうに光る二つの目玉を見た。黒い怪物が迫るので橋のそばの大木に登ると、怪物は先回りして上で待ち構え、折詰を奪おうとした。男は地面に落ちて気を失ったが、悲鳴を聞いた近所の青年が万能で怪物の頭を打ち倒した。翌日見ると正体は小牛ほどの大きな黒猫で、以来この橋は猫橋と呼ばれるようになった。
原典より
翌日、この話を聞いた近所の人たちは、駒橋に横たわっている怪物の死がいを見に行きましたが、その正体は小牛ほどもある大きな黒猫でした。—— 与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
与野市史 民俗編――伝説・昔話(与野市(編)・与野市史)
『与野市史 民俗編――伝説・昔話』は、与野市史の民俗編から「一〇 伝説・昔話」の章だけを収めたものである。武蔵国足立郡与野にまつわる伝説と昔話二十話を、疫神や弘法大師、源頼義の伝えから、お化け地蔵・一つ目大入道・天狗隠し・猫橋のいわれなどの怪異譚まで、おおむね時代順に並べる。十五話は岡安茂生編『与野の伝説』に、ほかは『埼玉県伝説集成』『大宮市史』に拠り、再調査して題名や内容を書き改め、多くの話の末に注を付す。