人力車で来て消えた不忍池弁天の主
どんな伝承か
何年前のことかははっきりしないが、東京の方角から、高島田に髪を結い、昔の令嬢のような装いをした美しい女性が人力車に乗ってやって来た。女性は大井の坂の上まで来たところで、ふっと姿を消してしまった。土地では、この女性は上野の不忍池の弁天の主が姿を変えて訪れたものだと語られている。
原典より
幾年程前か東京の方から、高島田を結った昔のお嬢さん風のきれいな人が人力車に乗って大井坂上まで来た。—— 大井町史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大井町史 民俗編
『大井町史 民俗編』は、大井町の町史民俗編のうち、第一節「伝説」を収めたものである。大井・亀久保・鶴ヶ岡・苗間などに伝わる地名の由来、力石や怪力男の話、大井弁天、織部塚、地蔵や薬師の縁起などを、『新編武蔵風土記稿』『大井村郷土史』『麦笛』『埼玉県伝説集成』などの文献と、土地の話者からの聞き書きによって記す。伝説の特徴を述べたのち、村・石・水・塚・祠堂・その他の部に分けて各話を並べ、話ごとに出典の書名か話者の名を添える。