夢告で掘り出された亀久保の薬師
どんな伝承か
亀久保の島田家の本家で、何代か前のお婆さんの夢枕に薬師が立ち、福岡寄りの辺りにある精進場の中に自分が埋まっていると告げた。先祖は放っておくのは畏れ多いと考え、人手を集めて掘りに出かけた。灯心に火をともして川べりの方へ掘り進めると光が差してきたので、ここだと掘り当てたのが今の薬師だという。お堂を建てて祀り、秘仏とされていたが、のちに火事で失われたと伝わる。
原典より
その時、灯心(油の火)を燃やしながら川のへりへ向かって掘っていたら、後光がさして来た。—— 大井町史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大井町史 民俗編
『大井町史 民俗編』は、大井町の町史民俗編のうち、第一節「伝説」を収めたものである。大井・亀久保・鶴ヶ岡・苗間などに伝わる地名の由来、力石や怪力男の話、大井弁天、織部塚、地蔵や薬師の縁起などを、『新編武蔵風土記稿』『大井村郷土史』『麦笛』『埼玉県伝説集成』などの文献と、土地の話者からの聞き書きによって記す。伝説の特徴を述べたのち、村・石・水・塚・祠堂・その他の部に分けて各話を並べ、話ごとに出典の書名か話者の名を添える。