トンボが見抜いた家老の罪
どんな伝承か
勝山城の殿様の弟が、城からの夜遅い帰り道で待ち伏せされて殺された。家老は罪のない百姓を下手人に仕立て、その家から弟の脇差が出たとして火あぶりと決めた。村人の命乞いも退けられ、仕置きの日、百姓は最期の祈りを許された。祈り終えた百姓の座ろうとした所にゲンザンボ(トンボ)が止まると、百姓は追い払わず筵の隅に座った。次にトンボに肩へ止まられた家老は、苛立って叩き殺した。見ていた殿様は、虫も払わぬ者が人を殺すはずがなく、平気で殺生する家老こそ下手人だと見抜き、家老は白状した。百姓の願いで家老の火刑は取りやめとなり、家老も改心して百姓になったという。
原典より
イライラしてだ家老は、うるせっちて、ゲンザンボをぶっぱだえで、殺しっちたんだど。—— 氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史)
『氏家町史 民俗編――伝説・昔話』は、氏家町の町史民俗編のうち、第五章「くらしと言語」の第一節「伝説・昔話」と第二節「ことわざ、俗言」の初めを収めたものである。昭和七年版『氏家郷土誌』の数編と町史編さん室などが集めた話から選んだ二十七話を土地の方言の語りに直して載せ、勝山城にまつわる歴史伝説や地蔵の信仰伝説が多い。各話の末に方言を主とする語注を付け、ことわざの節では日常に使われた俗言を頭の音(あ・い・う)ごとに並べる。