夢告で掘った徳の宮明神の霊水
どんな伝承か
昔、采女の大尽の家で、老婆が長く病みついていた。いろいろな薬を飲んでも効かず、弱っていくばかりなので、神頼みしかないと村の神に願をかけると、満願の日に夢のお告げがあり、徳の宮明神に井戸を掘ってその水を飲めと告げられた。喜んだ老婆はすぐ井戸を掘らせ、その水を飲んだり湯にしたりするうち、いつしか病は癒えた。ありがたく思った老婆が病に苦しむ人々にこの話を伝えたため、参拝や水汲みの人が次々に訪れ、小さな井戸一つでは足りなくなった。そこで村は明神の周りに深い堀を巡らせ、誰でも水を汲めるようにし、多くの人がご利益を受けた。明神と同じ場所には徳地蔵も建っている。
原典より
この明神と同じどごに、徳地蔵さまが建ってだもんだがら、きっと、神さまと仏さまのおかげだったんだべな。—— 氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史)
『氏家町史 民俗編――伝説・昔話』は、氏家町の町史民俗編のうち、第五章「くらしと言語」の第一節「伝説・昔話」と第二節「ことわざ、俗言」の初めを収めたものである。昭和七年版『氏家郷土誌』の数編と町史編さん室などが集めた話から選んだ二十七話を土地の方言の語りに直して載せ、勝山城にまつわる歴史伝説や地蔵の信仰伝説が多い。各話の末に方言を主とする語注を付け、ことわざの節では日常に使われた俗言を頭の音(あ・い・う)ごとに並べる。