菊ヶ岳の源生菊
どんな伝承か
正徳二年、藩から遅川の奥の二又村のあたりに菊の生える山はあるかと尋ねられ、二又村の組合頭らが書き上げて答えた。それによれば、二又村領の西又川の水上に、奥池・板尾・二又の三か村が出合う三方岳という峰があり、少し上に大清水という谷、さらにその上に菊ヶ岳という山がある。山一面ではないが、峰の八分目より上のところどころに、白い一重の野菊より少し大きい菊が昔から咲き、今も咲いているという。二又村から四里ほどの道のりで、ほかに菊の生える山は知らないと記す。この菊の露が滴るので、遅川は菊水川とも菊潭川とも呼ばれると伝わる。
原典より
峰八分より上、所々に白き一重の野菊より少し大き成菊御座候而、往古より花咲申由に而、只今において咲申候。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。