消防ポンプを止めた白鳥神社の神威
どんな伝承か
吉水の中央、字大明神の俗に一本杉と呼ばれる所に白鳥神社があった。日本武尊を祭る、安蘇郡で最も古い社と伝わり、明治の中ごろ楠神社に合祀された。境内にはこぶだらけの千年杉があったが、明治の末に枯れて切り倒すと、切った人はその晩のうちに気がふれた。昭和十一年、旧境内に器材置場を持つ田沼町消防第二分団の自動車ポンプが故障続きとなり、火事場で水が出ないこともたびたびだった。分団長が区長らと相談して修験者を招き、社の跡に石宮を建てて日本武尊を祭り直すと、故障はぴたりとやんだ。その後近所で火事が続いたときも、祭りを丁重にすると収まったという。今も第二分団長が祭主となって祭典を行っている。
原典より
明治の末ごろに枯れたので切り倒したところ、その人はその晩のうちに発狂してしまった。—— 田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史)
『田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説』は、田沼町が編んだ町史第一巻のうち、伝説の節の大半とことわざの節の冒頭を収めたものである。僧や鎧の祟り、神社の霊験、佐野宗綱の出陣、藤原秀郷ゆかりの井戸、義民、地名の由来、落人、寺社の縁起など、町内各地に伝わる話を地名や家名とともに記す。伝説は英雄偉人・義民・地名・落人・寺社縁起などの項に分けて並べ、ことわざの節は調査員の協力で集めたものを五十音順に掲げるが、いの項で終わっている。