義経に巻物を授けた根本山の山神
どんな伝承か
兄の頼朝と仲違いして奥州へ落ちていく源義経は、その途中で根本山に立ち寄り、岩陰で一夜を明かした。明け方、枕元に白髪で青ざめた顔の老人が巻物を手にして現れ、自分はこの山の山神で、義経が鞍馬寺にいたころから守ってきたと告げた。老人は、生まれつき戦を好むが、その害がわが身に及ぶことを知らないと戒め、この一巻をよく読んで身の振り方を考えよと授けた。そして、これからはこの地にとどまって人々を守り続けるので、会いたくなったらここで九郎王子と呼べと言い残して消えた。夜が明けると、義経は老人のいた辺りの大岩に九郎王子と墨で書き付け、平泉を目指して去ったという。
原典より
義経は夜が明けると、老人が立っていた辺りの巨岩に九郎王子と墨で書き、奥州平泉を指して落ちて行った。—— 田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説(田沼町(編)・田沼町史)
『田沼町史 第1巻(自然・民俗編)――伝説』は、田沼町が編んだ町史第一巻のうち、伝説の節の大半とことわざの節の冒頭を収めたものである。僧や鎧の祟り、神社の霊験、佐野宗綱の出陣、藤原秀郷ゆかりの井戸、義民、地名の由来、落人、寺社の縁起など、町内各地に伝わる話を地名や家名とともに記す。伝説は英雄偉人・義民・地名・落人・寺社縁起などの項に分けて並べ、ことわざの節は調査員の協力で集めたものを五十音順に掲げるが、いの項で終わっている。