三崎の丸木船と漁業権
どんな伝承か
三浦三崎には丸木船組と呼ばれる家々があり、昔丸木船を使っていた家が特別な権利を持っていた。海南神社の世話人は明治時代までこの丸木船の家筋に限られ、陣笠と陣羽織、それに権現様のお墨付きとされるものが受け継がれてきたという。毎年正月四日には大世話人が丸木船の船持を家に集め、丸木船の由来を言い渡すのが決まりだった。船持たちは地先の漁業権を独り占めしており、この権利は権現様から頂いたものだという伝説を伝えている。ただしこの丸木船は一本の木をくりぬいた舟ではなく、もっと進んだ造りの船だったという。
原典より
三崎では海南神社の世話人は明治時代まで丸木船の家系に限られており、陣笠と陣羽織と権現様のお墨付と称するものが受継がれていたという。—— 神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄の「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げる。昔話は本格昔話と派生昔話(化物譚・笑話・動物昔話)に分け、藤沢・津久井・平塚などの類話を並べて世間話にも触れる。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなる。