境木の地蔵と夢のお告げ
どんな伝承か
武蔵と相模の境にある境木の地蔵には、こんな由来が伝わる。昔、由比ヶ浜に大きな地蔵尊が打ち上げられたが、重いのでそのままにしておくと、大水で海に流され、今度は腰越に打ち上げられた。ある晩、漁師の夢枕に、江戸へ行きたいというお告げがあったので、牛車に載せて運び出した。ところが境木まで来ると車がぴたりと動かなくなったので、その場に祀ったという。小田原の吉三地蔵と同じく、運ぶ途中で動かなくなったという霊験譚である。
原典より
武相境の境木の地蔵は、昔、由井ヶ浜に打上げられた地蔵尊が大きいので動かさずに置いたところ、…—— 神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄の「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げる。昔話は本格昔話と派生昔話(化物譚・笑話・動物昔話)に分け、藤沢・津久井・平塚などの類話を並べて世間話にも触れる。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなる。