夜口笛と天狗
どんな伝承か
この地方では昔から、夜に口笛を吹くものではない、吹くと天狗にさらわれるといわれ、子どもたちは本気でそれを恐れた。獅子舞の天狗の面が思い浮かび、うっかり夜に口笛を吹いた晩には外へも出られなかったという。天狗は笛や太鼓の音が大好きで、その音に浮かれて現れるとされる一方、鉦や拍子木を大いに嫌うといわれ、迷子を捜すのに鉦が使われた。夜回りの火の用心で拍子木を打つのも、天狗が嫌うからだと伝えられている。
原典より
「夜口笛を吹くと、天狗にさらわれる」、と子供心に本気に考えたものである。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。