線香の煙が結んだ大きな顔
どんな伝承か
昭和五十二年七月五日の夜八時、幸畑陸軍墓地の広場で雪中行軍隊の慰霊祭が営まれ、朝日テレビが現場から全国へ生放送していた。慰霊祭には多くの僧侶が出席し、そのなかの一人、青森市八重田の海昌寺住職石岡は、かつて神成大尉の五十年の供養をした人である。写真は住職の娘婿にあたる成田智士が記念に撮ったものだが、よく見ると、雪中行軍隊慰霊祭と墨書された板の上方に漂う線香の煙のなかに、煙でできた大きな顔があり、参列者を見下ろすかのように写し出されていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。