観音像の上に浮いた祖母の顔
どんな伝承か
昭和五十年七月十六日の夜八時二十五分、青森市内の某家で撮られた一枚である。生前から観音像を大切にしていた祖母が老齢のため亡くなり、由緒ある像を遺骨と一緒に埋葬するのは惜しいというので、遺族一同が相談のうえ、観音像を写真に撮って骨箱に納めることにした。撮影は祖母が息を引き取った部屋で、長男の手によって行われた。出来上がった写真には、観音像の上部にかなり鮮明な老女の顔が写し出されていた。家族はみな恐ろしさのあまり、数日のあいだ誰も眠れなかったという。撮影は室内の蛍光灯のもと、絞り全開、三十分の一秒であった。
原典より
昭和五十年七月十六日、夜八時二十五分撮影。—— お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。