枕元で結婚を迫った妻の祖父
どんな伝承か
十数年ほど前、ある学校の先生が見合いのため、西津軽郡鰺ヶ沢町から五能線と奥羽本線を乗り継ぎ、青森市油川町にある相手の親戚の家を訪ねて、その女性に会った。夕飯をごちそうになり、食後に茶を所望すると、女性は今食べた飯茶碗になみなみと茶を注いで差し出した。その非常識さにあきれた先生は、明朝この縁談を断ろうと心に決めて泊まった。ところが真夜中、枕元にでっぷり太った坊主頭の年配の男が現れ、見合いした相手と結婚しろ、さもないと一生嫁のもらえぬ体にしてやる、と睨みつけて消えた。結婚後、妻のアルバムにその顔があり、数十年前に亡くなった妻の祖父だと知れた。
原典より
幽霊に強迫されて、結婚した学校の先生が青森市におります。—— お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。